Claude Code /loop とは何か ― 「次のひと声」をAIに予約するセッション内スケジューラ¶
対象: Claude Code を日常的に使用しており、定期実行や監視の自動化に関心のある開発者・DevOpsエンジニア
この記事のポイント¶
- セッション内スケジューラ
/loopはAIの永久自律化ではなく、一定間隔でClaudeに再度仕事を振るための機能 - 追撃プロンプトを消せる デプロイ確認・CI再確認・PR監視など「確認の二手目」を人間が打つ必要がなくなる
- 責務の異なる4つの自動化
/loop・Hooks・Desktop Scheduled Tasks・GitHub Actions は守備範囲が違い、使い分けが重要
ただの定期実行ではない。「次のひと声」をAIに予約する機能¶
Claude Code に /loop が入ったことで、ターミナルの中で「5分後にもう一度見て」「20分おきにPRを見直して」「終わったら状況を教えて」といった再確認タスクを、その場のセッションにぶら下げて実行できるようになった。Anthropic の changelog では v2.1.71 の追加機能として、/loop と recurring prompts 用の cron scheduling tools が明記されている1。
この機能をひとことで言うなら、/loop はClaudeの"作業ループ"そのものを自動化する機能ではなく、Claudeに再び仕事を振るタイミングを予約する機能である。Claude Code 自体はもともと「文脈収集 → 実行 → 検証 → 繰り返し」という agentic loop で動いており2、/loop はそのループを外側から定期的に再起動するための薄いスケジューラだと理解すると本質をつかみやすい。
基本構文 ― 何ができるのか¶
基本形はとても単純である。
/loop 5m check if the deployment finished and tell me what happened
/loop は bundled skill として提供され、一定間隔でプロンプトやスラッシュコマンドを再実行できる3。間隔は先頭でも末尾でも書け、未指定時は10分間隔。単位は s(秒)、m(分)、h(時)、d(日)を使えるが、内部は cron ベースのため秒は分単位に丸められる。7m や 90m のような割り切れない指定も最寄りのクリーンな間隔に丸められ、実際に採用された間隔がフィードバックされる3。
対象はただの自然言語プロンプトに限らない。別のスラッシュコマンドやスキルも定期実行できる。
/loop 20m /review-pr 1234
/loop check the build every 2 hours
つまり /loop 単体が革命というより、スキルやカスタムコマンドを「定期呼び出し可能な部品」に変えるところに価値がある3。
また、/loop ではなく自然言語で依頼すれば、1回限りのリマインダーとしても機能する。
午後3時にリリースブランチをpushするようリマインドして
Claudeは特定の時刻にピン留めされたcron式を作成し、発火後に自動削除する3。
2026年3月時点の実装状況
release notes と docs では /loop は v2.1.71 で追加と案内されているが、2026年3月9日時点では Anthropic の GitHub issue において CLI v2.1.71 で /loop が Unknown skill: loop になるとの報告が複数出ている1。本記事の仕様説明は公式 docs に基づくが、実際の利用時にはバージョン差異や未反映の可能性に注意してほしい。
何がそんなに便利なのか ― 「確認の二手目・三手目」を消せる¶
Claude Code を普段使っていると、実装そのものよりも、デプロイ終わった? CIまだ落ちてる? PRに新しいコメントついた? いま再試行すべき? ――のような反復確認が地味に多い。
/loop はこの「次のひと声」を予約できるので、人間が5分後にまた同じ確認文を打つ必要がなくなる。公式ドキュメントでもデプロイの監視、PRの babysit、長時間ビルドの確認が主用途として挙げられており、設計意図もそこにある3。
ここが、従来の「AIに一発で全部やらせる」話と違う点である。Anthropic自身も長時間エージェント運用では、高レベルな指示を一発で丸投げすると、やり過ぎ・文脈断絶・中途半端な状態での終了が起きやすいと書いている4。/loop の価値は無限自律化ではなく、小さく区切った再評価サイクルを作りやすくすることにある。
使いどころは3つに絞ると失敗しにくい¶
1. 状態監視¶
いちばん相性がいいのは、デプロイ・ビルド・テスト・バックフィルのような、待ちが長く判定条件が比較的明確な仕事である。Claudeが毎回その時点の状態を見て、必要なら追加確認し、結果を要約して返す形に向いている3。
2. 再実行ワークフロー¶
/review-pr のようなスラッシュコマンドや、自作スキルを /loop で定期実行すると、レビュー・監視・チェックリスト更新がかなり実務的になる3。
3. 軽いリマインド¶
自然言語の one-shot reminder で「45分後に integration tests を確認して」のような形も使える。Claudeはこれを単発タスクとしてcronに落とし込む3。
/loop を使わない方がいいケース¶
/loop は便利だが、常駐ジョブ基盤ではない。ここを誤解すると事故る。
セッションスコープ(揮発性)¶
最も重要な制約。スケジュール済みタスクは session-scoped であり、Claude Code のプロセスが生きている間だけ有効である3。ターミナルを閉じる、セッションが終わる、再起動する、といったタイミングですべて消える。永続性はゼロ。
ミス発火のキャッチアップなし¶
Claudeが長時間のリクエスト処理中にタスクの発火タイミングが過ぎた場合、Claudeがアイドルになった時点で1回だけ発火する。3回分逃しても3回分溜まるわけではなく、常に1回のみ3。
ジッター(タイミングのばらつき)¶
全セッションが同時刻にAPIを叩く集中を避けるため、発火タイミングに決定的なオフセットが加えられる3。繰り返しタスクは周期の最大10%(上限15分)の遅延、毎時0分/30分に設定したワンショットタスクは最大90秒の前倒し。オフセットはタスクIDから導出されるため、同じタスクは常に同じオフセットを持つ。正確なタイミングが必要な場合は :03 や :17 のような端数の分を指定すればワンショットのジッターは適用されない。
3日間の自動有効期限¶
繰り返しタスクは作成から3日後に自動失効する3。忘れ去られたループが永遠に走り続けるリスクを防ぐ設計だが、同時に「本番運用の恒久監視」には不向きである。3日以上必要な場合は、期限前にキャンセル→再作成するか、Desktop Scheduled Tasksに移行する。
その他の制約¶
1セッションあたり最大50タスク。環境変数 CLAUDE_CODE_DISABLE_CRON=1 を設定するとスケジューラ全体が無効化され、/loop とcronツールが利用不可になる3。組織のポリシーで定期実行を禁止したい場合に使える。
要するに /loop は、その場の作業セッションを少しだけ賢くするための機能であって、SREの定常監視やCI/CDの本番自動化を置き換えるものではない。
Hooks・Desktop・GitHub Actions との使い分け¶
公式ドキュメントを読んでも少し混ざりやすいので、実務の目線で整理する。
| 項目 | /loop(CLI) | Hooks | Desktop Scheduled Tasks | GitHub Actions |
|---|---|---|---|---|
| 性質 | 判断を伴う再確認 | 必ず実行する決定論的処理 | 明確な定期ジョブ | durable なCI/CD自動化 |
| 永続性 | セッション終了で消失 | 設定ファイルに永続 | アプリ起動中は持続 | クラウド側で永続 |
| トリガー | 時間間隔 | ライフサイクルイベント | 指定時刻 | PR / Issue / cron |
| LLM判断 | あり(毎回Claudeが考える) | shell hooksはなし / prompt-based・agent-based hooksはあり | あり(毎回新規セッション) | あり |
| ミス時catch-up | アイドル時に1回のみ | N/A(同期実行) | 過去7日で最新1回 | GitHub側で管理 |
| OS対応 | 全OS | 全OS | macOS / Windows | OS不問(クラウド) |
Hooks5 は、Claude Code のライフサイクル上の特定イベントで処理を自動実行する仕組みである。基本の shell hooks は決定論的(deterministic)で、Anthropicも「LLMが気分でやるのではなく、必ず起こる自動処理」と説明している。「保存後に必ず formatter」「このディレクトリは絶対編集禁止」のような規則強制向き。ただし Hooks には prompt-based hooks や agent-based hooks もあり、これらはClaude のモデルを使って判断する5。対して /loop は、一定間隔ごとにClaudeにもう一度考えさせる仕組みなので、判断が必要な再確認向きである。
Desktop Scheduled Tasks6 は、CLI セッション内で回る /loop と違い、指定時刻に毎回新しいローカルセッションを立ち上げる仕組みである。Desktop アプリが開いていてPCが起きている必要はあるが、missed run に対しては過去7日の範囲で最新1回ぶんだけcatch-upする。「毎朝9時の依存関係監査」のような明確な定期ジョブはDesktopの方が向いている。
GitHub Actions7 は、リポジトリ駆動の durable automation であり、CLIセッションにぶら下がる /loop とは責務が違う。Claude は PR や Issue 上の @claude を起点にコード解析・実装・PR作成までできる。
選択基準 ― 「セッションを閉じたら消えていいか」¶
迷ったときの判断基準は1つ。セッションを閉じたら消えていいか。Yesなら /loop、Noなら永続性の要件に応じてDesktop・GitHub Actions・外部cronを検討する。
実務でハマりにくい書き方¶
/loop を使うときは、雑に「終わるまで見ておいて」ではなく、毎回何を見て、どう判断して、どこまでやるかを書いた方が安定する。
/loop 10m check whether the deploy for branch feature/auth has finished.
If it is still running, summarize current status in 3 bullets only.
If it failed, identify the failing step and propose the next command,
but do not execute fixes yet.
If it succeeded, tell me the URL and the commit SHA that was deployed.
この書き方が良いのは、毎回の実行でClaudeに求める役割を監視・要約・エスカレーションに限定しているからである。Anthropicの長時間エージェント運用の記事でも、セッションをまたぐ仕事では「一気に全部やる」より、小さく進めて状態を記録し、次のセッションが理解しやすい形で終える方がうまくいくと示されている4。/loop でも同じ発想が効く。
現時点での運用上の注意¶
スケジュール機能全体はまだ新しい。Anthropic のステータスページでは、2026年3月8日に Desktop/Cowork の Scheduled Tasks が DST(夏時間切替)関連の不具合で一時無効化されたと告知されている8。CLI の /loop そのものと断定はできないが、少なくとも現時点では、基幹運用よりも「人間が見ている半自動化」から入る方が安全である。
まとめ¶
/loop は「Claudeが勝手に永遠に働くようになった機能」ではない。そうではなく、Claude Code の対話を「単発の依頼」から「再訪問可能なワークフロー」へ変える機能である。
公式ドキュメントが説明しているのは主に構文と制約だが、実務で効くポイントはそこではなく、人間が毎回やっていた「確認のための追撃プロンプト」を消せることにある。
導入の第一歩は大げさな自律化ではない。まずはデプロイ監視、CIの再確認、PRの定期レビューの3つから始めるのが妥当である。そこからスキル、Hooks、Desktop Scheduled Tasks、GitHub Actions へ責務分離していくと、Claude Code の自動化はかなり整理しやすくなる。
関連記事¶
- Claude Code スケジュール自動化 完全ガイド
- Claude Code Hooks 完全ガイド
- Claude Code cron スケジュール自動化 完全ガイド
- Claude Code GitHub Actions
Claude Code リリースノート v2.1.71(GitHub)。
/loopコマンドとcronスケジューリングツールの追加が記載されている。 https://github.com/anthropics/claude-code/releases ↩↩Claude Code 公式ドキュメント「How Claude Code works」。agentic loop の動作原理。 https://code.claude.com/docs/en/how-claude-code-works ↩
Claude Code 公式ドキュメント「Run prompts on a schedule」。
/loopの構文、cron式仕様、制約事項の一次情報。 https://code.claude.com/docs/en/scheduled-tasks ↩↩↩↩↩↩↩↩↩↩↩↩↩Anthropic Engineering Blog「Effective harnesses for long-running agents」。長時間エージェント運用のベストプラクティス。 https://www.anthropic.com/engineering/effective-harnesses-for-long-running-agents ↩↩
Claude Code 公式ドキュメント「Automate workflows with hooks」。Hooksの決定論的実行モデルの説明。 https://code.claude.com/docs/en/hooks-guide ↩↩
Claude Code 公式ドキュメント「Use Claude Code Desktop」。Desktop Scheduled Tasksの仕様と missed run catch-up の挙動。 https://code.claude.com/docs/en/desktop ↩
Claude Code 公式ドキュメント「Claude Code GitHub Actions」。リポジトリ駆動の自動化。 https://code.claude.com/docs/en/github-actions ↩
Anthropic Status Page。2026年3月8日のScheduled Tasks一時無効化の告知。 https://status.anthropic.com/ ↩